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★万博で相次ぐ検出、レジオネラ属菌の専門家「コントロールは難しい」

河原田慎一2025年6月5日 19時00分

　大阪・関西万博の会場で相次いで検出されたレジオネラ属菌。
研究者は万博の来場者に健康被害が出るリスクは高くないとしながらも、
屋外施設でのレジオネラ属菌の繁殖を「コントロールするのは難しい」と指摘する。

　レジオネラ属菌について研究している岐阜大大学院の永井宏樹教授（細菌学）によると、
レジオネラ属菌は自然界に広く存在している。
特に水辺や高温多湿な環境で増殖しやすく、循環式の浴槽がある温泉施設などで
レジオネラ属菌が多量に発生し、利用者が「レジオネラ症」にかかるケースが、全国各地で起きている。

　菌がついたエアロゾル（細かい霧やしぶき）を吸い込むことで感染し、
多くは発熱やせきなど呼吸器系の軽症で終わる。
だが、重症の「レジオネラ肺炎」にかかると*に至ることもある。
人から人には感染しない。特に乳児や高齢者など免疫力が低下している場合には
重症化するリスクが高まるので、注意が必要だという。

　日本国際博覧会協会によると、噴水ショーなどを楽しめる「ウォータープラザ」で
検出されたレジオネラ属菌は、水100ミリリットルあたり2000CFU。
大阪市保健所による指針値（100CFU）の20倍の数字だが、
永井教授は「循環式浴槽で見つかる数値はもっとたくさんのことが多い」と言う。

　屋外の噴水であれば、多量の菌を吸い込む可能性も低く「屋内の施設に比べ健康被害は出にくい」とみる。

　万博協会が次亜塩素酸の濃度を高めたり、配管を清掃したりしたことは「菌を減らす効果がある」。
一方で、広大な池のような場所で、レジオネラ属菌の発生を抑えることは困難だと指摘する。
「（同区域で）ユスリカが発生しているということは、栄養が多くて、淡水の入った水なのだろう。
通常、レジオネラ属菌は塩素と加熱によって管理しているが、
オープンスペースでの発生をコントロールするのは難しいと思う。
感染リスクを減らすには、危なそうなところに近づかない、ということしかない」

朝日新聞デジタル　http://digital.asahi.com