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★誰もが知る*刑執行さえ「あったか言えない」　訴訟で見えた国の姿勢

大滝哲彰2025年5月16日 15時24分

　*刑がどのように執行されたかは言えない。非公表だった時代の執行については、たとえ一般に知られていても答えない――。
*刑の情報公開をめぐる訴訟で、国側が16日、そんな説明を展開した。
原告側は「誰でも知り得る情報すら出さない姿勢はおかしい」と訴えている。

　原告は元*刑囚の再審請求の弁護人ら。
*刑の執行状況を検証するため、過去に執行された6人について法相の決裁文書などを開示請求したところ、
大半が不開示とされ、大阪地裁に提訴した。

　6人のうち、オウム真理教の松本智津夫（麻原彰晃）元代表=2018年執行=ら3人については、
氏名や拘置所名などを除きほぼ黒塗りで開示された。
連続射*事件の永山則夫元*刑囚ら3人については文書があるかどうかも答えない「存否応答拒否」とされた。

　この日、国側は書面を提出し、執行の情報は元*刑囚の「個人情報」で、
開示すればほかの*刑囚に動揺を与えて自*や逃亡を助長する恐れがあると説明。
永山元*刑囚ら3人については1993〜2006年にそれぞれ執行されたことで知られるが、
存否を答えると執行を認めることになると不開示理由を説明した。

　原告側は、永山元*刑囚ら3人の執行については「当時の法相が会見で明らかにしたり新聞が報じたりしている」と指摘。
代理人の坂本団（まどか）弁護士は「*刑制度の是非は情報をもとに議論されるべきだが、
これでは国民が『目隠し』をされているようなものだ」と話した。

写真・図版　拘置所が作る「*刑執行速報」。執行状況や本人の心情の欄は、黒塗りで開示された

　*刑を巡っては、国はかつて執行の事実も明かさず、情報公開の要請が強まって1998年から執行した人数、
2007年から氏名や犯罪事実、執行場所を公表するようになった。

　ただ、執行順を決めた理由や実際の執行に問題がなかったかなど、具体的な運用状況は明かしていない。
執行予定が公表され、被害者遺族や記者が執行に立ち会うことで制度について議論が喚起される
米国を引き合いに、情報公開の乏しさが国内外で指摘されてきた。

●「存否応答拒否」乱用されていないか

　国の情報公開・個人情報保護審査会の委員を務めた森田明弁護士は
「情報公開の審査では、亡くなった人についても個人情報を理由に非公開になることはあるが、
『存否応答拒否』は乱用されてはならない」と指摘する。
その上で「秘密のベールに包まれてきた*刑執行が公正にされているか、知りたいという国民の要請は当然ある。
執行の事実を明かすこと自体にどんな支障があるのか、一部でも出せるものはないのか、丁寧な検討が必要だ」と話す。

朝日新聞デジタル http://digital.asahi.com