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★トランプ氏「愚か者に…」　ウクライナと協定、署名の真意とは

　トランプ米政権の発足後、ウクライナにとって懸案だった米国との経済協定が4月30日に署名された。
鉱物資源などの共同開発が柱となる。ロシアとの停戦交渉にどう影響するかは未知数だ。

「彼ら（ウクライナ）は素晴らしいレアアース（希土類）を持つ。大きな資産だ。
（ウクライナ支援の見返りを得ないことで）愚か者に見られたくなかった」

　トランプ米大統領は4月30日夜、米ケーブルテレビ「ニュースネーション」の番組に電話出演し、
ウクライナと資源開発に関する協定で合意した理由について、こう明かした。

　トランプ氏は、政敵のバイデン前大統領の政権が見返りを得ずにウクライナへ巨額の支援を続けてきたと批判してきた。

　当初は協定締結でこれまでの支援費用の「回収」を目指したが、
今回の合意では今後の支援のみを「回収」の対象とするところまで譲歩した。そ
れでも、トランプ氏にとっては支持者らに向けて、前政権との違いをアピールできる。

　米国はレアアースの大半を中国から輸入している。対中依存を減らすため、新たな調達先の開拓が課題だ。
この点で、今回の協定が活用できる可能性もある。

　一方で、米側が今後ウクライナへの軍事支援にどの程度関与するかは不透明な部分もある。
「米国第一主義」を掲げるトランプ政権は発足以来、ウクライナへの新たな軍事支援を決めておらず、
現在の支援は前政権時代に決まった兵器などの供給が続くに過ぎない。

　今回の合意には、ウクライナ側が求めた「安全の保証」も盛り込まれなかったとみられている。

　協定署名により、ぎくしゃくしてきた両国関係は改善に向かう可能性がある。
ただ、トランプ氏は停戦交渉が進まないことにいらだちを強めている。
仲介から手を引く可能性にも言及しており、依然として交渉の先行きは見通せない。【ワシントン松井聡】

毎日新聞 2025/5/1 20:38（最終更新 5/1 21:29） http://mainichi.jp