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★「開かれた取材空間」どこへ　模範視できなくなった米国のメディア状況

2025/4/30 07:00

米ワシントンでの取材を長らく経験してからロンドンに移ると、
米国が外国人記者にどれだけ開かれた取材空間を提供していたかを痛感することが多い。

例えば筆者がワシントン在勤当時、ホワイトハウスと国務省、国防総省、連邦議会の記者証を取得し、
米メディアと一緒に記者会見に出席し、自由に質問する機会を得られていた。

一方、英国では首相府や外務省が国内と外国のメディアを明確に線引きした対応を取る。
政党や議員らも「票にならない外国メディアに利用価値は低い」と考えているようで、昨年の総選挙取材では苦労した。

だが今や「英国も米国を見習って」とは必ずしも言える状況でなくなった。

トランプ政権は、自らの方針に従わないAP通信を取材陣から排除する一方、
トランプ氏に媚（こ）びる質問しかしない右派の新興メディアを露骨に重用し、世論操作を図っている。

これには一部の右派勢力からも「仮に民主党政権が誕生した際、逆に保守メディアが排除の対象にされかねない」と異論が出た。

レーガンにせよ父子ブッシュにせよ歴代の共和党大統領は、主要メディアからどんなに厳しい質問をされようと、彼らを黙らせはしなかった。
民主主義社会での報道機関の存在意義について、健全な認識を維持していたからだ。（黒瀬悦成）

産経新聞　http://www.sankei.com