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★識者「地方自治の冒とくだ」「毎日新聞 2025/2/20 18:37（最終更新 2/20 18:38）　維新県議2人が立花氏に情報提供

　兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題で、
2024年11月の知事選で出回った疑惑に関する情報の受け渡しに、日本維新の会所属の県議2人が関わっていた。

　これらの情報は、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が
SNS（ネット交流サービス）などで発信し、疑惑を追及する県議らが中傷される原因にもなった。

　「議会への信頼を裏切る行為は極めて重大であり、地方自治への冒とくだ」

　同じ政党の県議2人が関与していたことに、現代政治分析が専門の白鳥浩・法政大大学院教授はそう指摘する。【聞き手・郡悠介】

●議会や県民の信頼損なう行為

　――維新の増山誠県議は24年10月、この月の下旬に開かれた調査特別委員会（百条委）の秘密会の録音データを立花氏に渡していました。

　録音データは、10月25日に知事の最側近だった片山安孝・元副知事を証人尋問した際のやり取りが記録されているとみられています。

　この会は選挙への影響を避けるため非公開で開かれていましたが、増山氏の行為にはどのような問題があると考えますか。

　◆百条委は公平公正である必要があり、選挙期間中に特定の候補を利する意図で情報を漏らしたことは議員倫理に反するでしょう。

　しかも、提供先の立花氏も知事選の立候補者でした。議会の信頼性を損なう重大な問題であり、
議会を代表する百条委の報告書自体の信頼性が疑問視されることにつながります。「地方自治への冒とく」と言えるでしょう。

　――同じ維新の岸口実県議は兵庫県知事選の告示翌日の11月1日、民間人とともに立花氏にある文書を手渡しする場に立ち会いました。
この文書は、疑惑を追及する百条委の委員だった竹内英明・元県議（25年1月に*亡）を「黒幕」と名指しする内容です。

　◆百条委の副委員長を務めていた岸口氏が、特定の個人を「黒幕」と名指しする文書を第三者に提供すること自体が大問題です。

　しかも、知事選の期間中の行為でした。この行為がなければ、名指しされた人物に対する個人攻撃がここまで誘発されなかったとも考えられます。

　百条委の委員を選んだ県議会に対する裏切りです。さらに、その県議会の議員を選んだ県民に対する裏切りにもなります。

　――維新の吉村洋文代表は、この県議2人について「動機も含めて説明責任を果たしてもらう」と話しています。

　◆両議員とも「県民に広く伝えることが重要だと思った」（増山氏）、「記憶が曖昧」（岸口氏）と抽象的な説明に終始しています。
記者会見を開いて、説明責任を果たすのは最低限すべきことです。

　2人とも維新に所属しており、組織的な行為だった可能性もあり得ます。
維新は、今週末に党として調査結果を公表するのであれば、こうした疑問にも答えてほしいですね。

　維新のリーダーである吉村代表も一定の責任を取る必要があるのではないでしょうか。
今回の問題は、維新の支持率低下につながりかねず、長期的な影響も懸念されます。

●厳正な処分必要

　――今後、県議2人の処遇はどうあるべきですか。

　◆議会への信頼を失墜させた責任は極めて大きいです。
百条委の役職などを辞めるだけでは責任を取ったことにはならず、維新は両議員への除名および辞職勧告が妥当でしょう。

　議会や県民の信頼回復のため、厳正な処分が必要だと考えます。

毎日新聞 2025/2/20 18:37（最終更新 2/20 18:38）　http://mainichi.jp