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★「品位に欠ける」どう判断　公選法改正案、与野党共同提出も課題山積

◆公選法改正案のポイント
選挙ポスター
・候補者の氏名を見やすいように記載しなければならない
・他人の名誉を傷つけたり、善良な風俗を害したりするなど品位を損なう内容を記載してはならない
・特定商品の広告や営業の宣伝をした場合は100万円以下の罰金
・全ての選挙で規格を「長さ42センチ以内、幅40センチ以内」に統一
SNS・2馬力
・引き続き検討し、必要な措置を講じる（付則）

　与野党は20日、選挙ポスターに品位保持規定を新設する公職選挙法改正案を衆院に提出した。
選挙中のSNS（ネット交流サービス）利用や、他候補の当選を目的に立候補する「2馬力」行為については
「必要な措置を講じる」と付則に盛り込んだ。今後、具体策の検討が本格化する。
参院選などの大型選挙が夏に迫る中、国会は実効性のある対策を打ち出せるのか。

●選管「具体的な対象事例を明示して」

　「日程的にはかなり異例だが、このタイミングで成立させようという合意に至ったのは、大変意義深い」

　20日の改正案提出後、記者団の取材に応じた自民の逢沢一郎選挙制度調査会長は、
与野党による共同提出の意義をそう強調した。
予算案の審議中に与野党で議員提出法案を共同提出し、審議入りするのは珍しく、
選挙を巡る情勢の変化に現行法が対応できていないことへの危機感をうかがわせた。

　改正案では、選挙ポスターの掲示板に候補者と無関係な広告などが大量に張り出された問題を踏まえ、
ポスターに「品位を損なう内容を記載してはならない」とする品位保持規定を新設。
特定商品の広告や営業に関する宣伝をした場合は100万円以下の罰金を科すとした。
また、選挙ごとに異なっていたポスターの規格を全ての選挙で
「長さ42センチ以内、幅40センチ以内」に統一することなどを盛り込んだ。

　この日の衆院政治改革特別委員会では、改正案の趣旨説明に先立って参考人質疑を実施。
直近の知事選で選挙ポスターや「2馬力」の選挙運動、
SNSを巡る問題が噴出した東京都と兵庫県の選挙管理委員会幹部らが意見陳述した。

　東京都選管の織田祐輔選挙課長は「選挙における混乱が続いた場合、
有権者による選挙自体に対する忌避感が生じ、公正公平な選挙が損なわれる」と懸念を表明。
「必要な法改正や運用における具体的な基準を明示してもらうことが重要だ」と求めた。

　兵庫県選管の永田秀一委員長は「仮に『2馬力』選挙が許容されると（ビラやポスターなどの数量規制を巡る）
候補者間の平等を確保できなくなる。現行法の範囲内で最大限対応してきたが限界がある」と指摘。
SNSによる偽情報や中傷の拡散については「選挙期間中の限られた時間で事実確認し、
名誉毀損罪などと認定するのは、警察でも対応が困難だったのではないか」と振り返った。

●公職選挙法改正を巡る主な経緯?

　今回の法改正を含め、SNSや「2馬力」への対応が必要との認識で与野党は一致するものの、
この日の質疑で浮き彫りになったのは解釈や運用の難しさだ。

　立憲民主党の鎌田さゆり氏は、改正案が新設するポスターの品位保持規定について「解釈が非常に広い。
品位がある、欠けるという判断は誰がするのか。非常に難しい曖昧な表現だ」と指摘した。

　有志の会の福島伸享氏は、品位を損なう要件の一つである「他人や政党などの名誉を傷つける」内容に関し、
「例えば『裏金議員追放』と書いたポスターを張れば、（相手方は）名誉を傷つけているので
選管が取り締まってほしい、となる。選管はどう対応するのか」と問題提起した。

　都選管の織田氏は「法改正があった場合、その具体的な対象事例についても明示してほしいとお願いしている。
選管としてはそういったものによってでしか判断ができない」と運用面での難しさを語った。（続く）

毎日新聞 http://mainichi.jp

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