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★日本の*刑　課題直視して議論を

2024年11月16日 5時00分

　「日本の*刑制度について考える懇話会」が政府への提言をまとめた。
*刑が「根源的な問題を孕（はら）んでいる」と指摘し、
日本の*刑制度と運用について「現状のままに存続させてはならない」とした。

　さらに、国会や内閣の下に*刑制度に関する根本的な検討を任務とする「公的な会議体」を設けることを、全委員一致で提言。
結論を出すまで*刑執行を停止することの是非も検討課題だとした。

　懇話会は日本弁護士連合会が呼びかけ、学者、国会議員や、
検事総長・警察庁長官の経験者、被害者団体の代表など１６人からなる。朝日新聞論説委員も参加した。

　提言は、
誤判の可能性を排除するための制度
▽被害者遺族の支援のあり方
▽*刑に関する情報公開や国民の意見を的確に集約する方法など、
会議体で検討すべき課題も具体的に列挙した。

　「人々に残忍さの手本を与えるという点からも、*刑は有益でない」と廃止を説いたのは、
１８世紀イタリアの思想家ベッカリーアだった。
同時代のドイツの哲学者カントは「もし人*しをしたなら、その者は*ななければならない」と*刑を肯定した。

　以来、各国・地域で議論が重ねられ、制度も変わってきた。
法律上または事実上の*刑廃止国は７割を超す。
韓国は四半世紀、執行を停止。台湾の司法は９月、*刑適用に極めて厳しい条件を課した。

　司法制度は人々の価値観と普遍的な人権概念とを照らし合わせて決めていくのが望ましい。
特に*刑の場合、刑罰の目的が「目には目を」という古典的な応報か、
犯罪予防と社会秩序の維持か――まで立ち戻って考えねば、かみあった議論は難しいだろう。

　だが日本では、「照らし合わせ」を進める国民的議論は盛り上がらなかった。
超党派の「*刑廃止を推進する議員連盟」が国会に*刑制度調査会をつくる
法案を出す動きも今世紀初めにあったが、実現しなかった。

　誤判で*刑が執行されたら取り返しがつかない危険は、
*刑が確定した袴田巌さんが一転無罪となったことを機に多くの人が痛感した。
生命の尊重という基本原則を自ら実践すべき国家が個人の生命を断つことには本質的な疑念も伴う。
朝日新聞の社説はこれまで、廃止に向け議論を始めることを呼びかけてきた。

　積年の難題に取り組む会議体の設置を期待する。
林芳正官房長官は「現時点では考えていない」というが、いま求められているのは、
開かれた議論を通じて合意点を見いだしていく営みである。

朝日新聞デジタル http://digital.asahi.com