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★「日中、2国間超えた重要な意味」　習近平氏、トランプ氏復権に備え

　ペルーの首都リマで15日に行われた日中首脳会談で、両首脳は「戦略的互恵関係」の
包括的な推進と建設的、安定的な関係構築を確認し、対話の重要性を強調した。
中国による日本産水産物の輸入停止などでぎくしゃくした日中関係をこれ以上
、悪化させてはならないとの思惑は双方に共通する。
トランプ前米大統領の返り咲きが決まり、日中が新たな間合いを探る展開だ。

　習近平国家主席は15日（日本時間16日）の日中首脳会談で、
「中日両国は世界そしてアジアにおいて重要な国家であり、
両国関係には2国間を超えた重要な意味がある」と強調した。
中国は米国のトランプ前大統領の復権による米中対立の激化に備えて、
日本など周辺主要国との関係を安定させたい考えだ。

　トランプ氏の1期目では、貿易などを巡り米中が激しく対立。
トランプ氏は今回も中国からの輸入品に60％の追加関税を一律で課すなど保護主義的な経済政策を公約で掲げる。
習氏は「開放的な地域主義を促進し、グローバルな課題に共に対処しよう」とも呼びかけ、
日中韓などが参加する地域的な包括的経済連携（RCEP）を含めた地域協力により、
米中関係がもたらす不安定さを緩和したいとの思惑もにじんだ。

　また足元で中国経済が失速しているという事情もある。
習政権は2024年通年で「5％前後」の成長率目標を掲げている。
ただ不動産不況が長引く中で国内需要は頭打ちとなり、
輸出で経済成長を支えざるを得ない状況が当面続く見通しだ。

　習指導部としては日本とは投資や貿易を通じて経済交流をさらに活発化させたい考えだ。
今回の会談で議題となった中国による日本産水産物の輸入再開に向けた「共通認識」の
早期の実行に関する合意も、その姿勢の表れとも言えそうだ。

　一方で、日中間には課題も山積している。
東シナ海では、沖縄県・尖閣諸島周辺海域で日中の公船によるにらみ合いが続く。

　中国が「核心的利益」と位置付ける台湾を巡って習氏は今回の会談で
「歴史や台湾など原則に関わる重大な問題については適切に対処することを望む」と強調。
自民党総裁就任前の8月に台北を訪問し頼清徳総統と面会した石破茂首相にクギを刺した形だ。

　アステラス製薬の日本人社員がスパイ容疑で拘束された事案や、今年9月に広東省深?市で
発生した日本人学校児童の刺*事件なども、両国関係に暗い影を落としている。

　また中国国内では、石破氏の政権基盤の脆弱（ぜいじゃく）さを指摘する声もあり、
中国政府は日本の政局の動向も見極めながら日中関係への対応を調整していくとみられる。
【北京・岡崎英遠、松倉佑輔】

●日中首脳会談のポイント
・「戦略的互恵関係」の包括的な推進と、「建設的かつ安定的な関係」を構築する方向性を共有
・首脳を含むあらゆるレベルで意思疎通を強化
・日本産水産物の輸入再開合意の着実な履行確認
・石破茂首相が在留邦人の安全対策強化を要請。習近平国家主席が「日本人を含む外国人の安全確保」と回答
・石破首相が拘束されている在留邦人の早期釈放を要求
・石破首相が、東シナ海情勢などに深刻な懸念表明

毎日新聞 2024/11/16 19:01（最終更新 11/16 21:15） http://mainichi.jp

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