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★「何のための全国政党なのか」維新、本拠地から噴き出す執行部批判

野平悠一2024年11月2日 17時00分

　10月27日投開票の衆院選の結果を受け、日本維新の会の中核をなす大阪の地方議員から党執行部への批判が噴き出している。
大阪の小選挙区では全勝したものの、公示前から全体の議席は6減。関西でも比例の得票率は大きく減った。
全国政党化よりも本拠地に重点を置く「原点回帰」を求める声が強まっている。

　衆院選から2日後の10月29日に非公開で開かれた地域政党・大阪維新の会府議団の意見交換会。
出席した議員からは選挙結果に厳しい意見が相次いだ。ある議員はこう訴えた。
「一気に全国政党化を目指すのはもう無理があるのではないか」

　衆院選で日本維新は、「全国政党化」を目指して前回衆院選の1・7倍にあたる164人を擁立。
結果、公示前の44議席から38議席となり、比例得票も前回から全国で300万票近く減らした。

●大阪では「全勝」募る危機感

　大阪でも盤石とは言いがたい結果だった。

　府内19小選挙区で初めて全勝を達成したが、比例得票では前回衆院選から約56万票目減りしたため、
大阪の地方議員にも「惨敗」（大阪維新幹部）との受け止めが広がっている。

　地方議員の間には以前から馬場伸幸代表ら国会議員の執行部に対して不満がくすぶっていた。

　対立が深まったのが、自民党の政治とカネをめぐる問題への対応だ。
先の通常国会の最終盤、維新は政治資金規正法改正案の修正協議に応じる見返りに実を得ようとしたが、失敗。
「身を切る改革」を掲げて党勢を拡大してきたと自負する大阪側は、存在感を示せず埋没したことに不満を募らせていた。

　こうしたなか、大阪での地方選でも今春以降、敗北が続いた。
8月の箕面市長選では公認の現職市長が結党以来初めて落選。
大阪維新が9月に発表した府民対象の独自のアンケートでは「結局は他の政党と同じで既存の政党だ」との
設問に対して「そう思う」とする回答が5割を超え、支持率がこの1、2年で半分近く減ったとした。

●維新の存在意義を問う声も

　地方議員が危機感を強める背景には、大阪での地盤が揺らげば結党以来の悲願である
大阪都構想の再挑戦が閉ざされかねないとの思いもある。

　維新は府議団を中心として結党され、都構想を可能にする法整備に向けて国政に進出した経緯を持つ。
都構想は住民投票で2度にわたって否決されているが、「3度目」を期待する議員は少なくない。
大阪維新幹部は「国政での勢いがそがれれば、再挑戦も難しくなる」と語る。
党内では「なんのために国会議員を生み出し、全国に広めようとしているのかを見直すべきだ」と、
党の存在意義を問う声もあがっている。

　衆院選の結果を受け、日本維新は近く代表選に突入する見通しだ。
大阪維新内では、党創設者で大阪府・大阪市の首長を務めた橋下徹、松井一郎両氏が
代表を兼ねてきた経緯から府知事の吉村洋文共同代表を推す声もあるが、
吉村氏は自らの進退を明らかにしていない。
衆目が一致する代表候補が見えないまま手続きが先行して進んでいる状況だ。

　維新はこれまでも国会議員と大阪側で対立し、分裂を繰り返した過去がある。
自民、公明両党が過半数割れし、政局が不安定化するなか、党運営を担ってきた馬場氏ら執行部を一新しても
この難局を乗り切れるのかという懸念もくすぶる。大阪選出の国会議員はこう漏らす。
「党内が混乱したままでは、国会で何もできず、維新のイメージがさらに悪くなる」（野平悠一）

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