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★ジャーナリスト安田浩一氏が警鐘「ヘイトスピーチは人を*す。差別の果てには*戮しかありません」

公開日：2024/09/28 08:40　更新日：2024/09/28 08:40

　埼玉県川口市周辺で暮らすクルド人に対するヘイトスピーチが深刻化している。
クルド人は「国を持たない最大の民族」と呼ばれ、トルコでの差別や弾圧から逃れた人々が
1990年代ごろから埼玉県南部などで生活するようになった。
最近になってネット上に中傷やデマが急拡散。事態は悪化の一途をたどっている。
中国で日本人学校に通う男児（10）が刺*された事件の背景には日本ヘイトが潜んでいるとの指摘もある。
ヘイトスピーチ問題を取材してきたジャーナリストは、
「ヘイトを放置すれば、いずれ大規模な災禍に発展しかねない」と警鐘を鳴らす。
　　◇　　◇　　◇
　──クルド人ヘイトはいつごろから散見されるようになったのでしょうか。

　差別と偏見はこの1年間で急拡大しました。昨年春、3回目以降の難民申請者の強制送還を可能とする
入管難民法改正案が国会で審議されていた時期を境に、クルド人に注目が集まるようになった。
難民申請者が少なくないため、多くのメディアが取り上げたことも影響しています。
彼ら彼女らに何の関心も持っていなかった人々がクルド人を「発見」した。
もともとゼノフォビア（外国人嫌悪）を抱えていた人々の間などでも知られるようになった。
そうして、クルド人へのヘイトが急速に広がっていきました。

　──外国人嫌悪に端を発した事件は数え切れません。

　今世紀初めから在日コリアンなどへのヘイトスピーチが問題となっていますが、
クルド人を差別しているのは基本的に同じ人たちだと思います。攻撃対象をクルド人に変えただけとも言えます。

■川口市内の犯罪認知件数は減少

　──クルド人をめぐっては、ネット上で「迷惑行為」や「犯罪行為」とされる真偽不明の情報が飛び交っています。

　SNSなどを通じ、検証されないまま猛烈なスピードで拡散しています。事件が起きればクルド人に結び付けられている状況。
「川口はクルド人に支配され、治安が悪化している」という荒唐無稽なデマまで広まっているほどです。
実際、この10年で川口市の外国人人口は倍増していますが、市内の刑法犯罪認知件数は半分以下に減少している。
容貌が異なるクルド人を怖がる気持ちは理解できなくもないのですが、クルド人と地元に古くから住んでいる人との交流も進んでいます。
こうした事実は無視され続けています。

　──ヘイトスピーチは川口に住むクルド人の生活にも影響を及ぼしていると聞きます。

　クルド人が経営するトルコ料理店には、「*ね」とか「日本から出ていけ」といった内容のいたずら電話が頻繁にかかってきています。
完全に営業妨害。悪質なため、店側も録音するなどの対策をとっています。迷惑系ユーチューバーも問題です。
クルド人と見るやカメラを向け、公園で遊んでいる子どもでさえ撮影し、モザイクをかけずにネットに投稿している。
「スマホが怖い」と怯えるクルド人がとても増えています。
「自警団」と称する団体が活動を始めたり、中には「武装」を呼びかける者まで出ている。
しかも、県外から来てこうした行為を働いていたりする。物騒な動きをして、治安を悪化させているのは一体どちらなのでしょうか。

●朝鮮人虐*と酷似していく現状

　──市役所などにクルド人をめぐる苦情を寄せるのも県外の人が目立つそうですね。

　差別をする人の多くは、対象のことをよく知らないし、知ろうともしない。そう言えると思います。
クルド人は国家を持たない民族であるにもかかわらず、「クルド」という国があると思い込んでいたりする。
何かしらの知識を持っていたとしても、ネットを10分ほど検索すれば分かるような程度にとどまる。
SNSなどで得た真偽不明の情報をうのみにしてしまう。
結果として、偏見で塗り固められたクルド人像が出来上がってしまっているのだと思います。
少なくとも、「クルド人のせいで川口市が無法地帯になっている」とされているのがデタラメだということは、
現地へ足を運べば分かると思います。（続く）

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