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★「安倍氏の天敵」石破新総裁　自民党内に残る拒否感、どうなる衆院選

　自民党総裁選は27日、決選投票の結果、石破茂元幹事長（67）が
高市早苗経済安全保障担当相（63）を破り、第28代総裁に選出された。

　石破新総裁は10月1日に新首相に指名される見通しで、厳しさを増す安全保障環境や経済対策など、
山積する国内外の課題に向き合うことになる。近く実施される可能性がある次期衆院選を見据え、
挙党態勢を構築できるかも問われる。

●日米地位協定「見直しに着手」

　防衛庁長官や防衛相を歴任するなど安全保障政策に精通しているとされる石破氏。
総裁選でもロシアのウクライナ侵攻に触れ、アジア版NATO（北大西洋条約機構）の
創設に意欲を示すなど持論を展開した。

　総裁選9候補による17日の那覇市の演説会では、
米軍の法的な特権を認めた日米地位協定について「見直しに着手する」と表明。
「主権国家としての責任を果たしていかなければいけない」として、
沖縄県内の米軍基地を自衛隊との共同管理にすべきだと主張した。

　10日の政策発表記者会見では地位協定改定に関し「検討を始める」としており、より踏み込んだ形だ。
運用改善にとどまらない改定は、戦後の歴代政権が手を付けられなかった課題で、
石破氏はまずは党内議論を開始させたい考えだ。

●金融所得課税、実行なら株価に影響も

　総裁選では、岸田文雄政権が棚上げした金融所得課税の強化が論点として再浮上し、
石破氏は課税強化を「実行したい」と意欲を見せた。
金融所得課税は株価下落や富裕層の国外流出を引き起こすとの指摘が根強い。

　石破氏は、21日のインターネット番組で「法人税は引き上げる余地がある」として法人税率の引き上げにも言及。
「負担する能力がある法人はまだある。もう少し負担をお願いしたい」と語った。

　引き上げ検討に着手した場合、金融所得課税の強化を含め、経済界からの反発は必至だ。

●安倍派を中心に強い拒否感

　総裁選に9人が乱立し、石破氏と高市早苗経済安全保障担当相による決選投票にもつれ込んだのを踏まえ、
石破氏は党内融和にも腐心することになる。

　高市氏は2021年の前回総裁選で安倍晋三元首相の支援を受け、
今回も安倍派をはじめとする保守系議員が支持に回った。
「安倍さんは石破氏を天敵としていた」（閣僚経験者）として、党内には石破氏への拒否感が根強く残る。
自身と距離のある議員らを人事面で取り込むことを含め、挙党態勢を構築できるかがカギとなる。

　石破氏は当初、派閥裏金事件に関係した議員を選挙で公認するかどうか
「徹底的に議論されるべきだ」とも語っており、裏金議員らの処遇も焦点となる。

　政府は新首相を選ぶ臨時国会を10月1日に召集する。
党内には新内閣発足の「ご祝儀相場」があるうちに早期に衆院解散・総選挙に持ち込むべきだとの声が大勢で
「10月15日公示、同27日投開票」や「10月29日公示、11月10日投開票」の日程が取り沙汰されている。

●早期解散？　党首討論？　想定される政治日程

　石破氏は12日の総裁選告示直後は、早期解散に言及しつつ、臨時国会で予算委員会を開くべきだとの考えを示していた。
ただ、党内には新首相が野党の追及を受ける予算委を開くべきではないとの要求が強い。

　新総裁として27日夕に党本部で臨んだ記者会見では「野党とも論戦を交わした上でご判断いただきたいが、
なるべく早く（国民の）審判を賜らなければならない。その二つを合わせて、適切な時期を判断していきたい」と語った。
同日夜のBS―TBS番組では、首相と野党各党トップによる党首討論の開催も「一つのやり方だ」と述べた。

　石破氏は30日にも実施する党役員人事などを踏まえ、衆院選の日程を最終判断する考えだ。【川口峻、竹内望】

毎日新聞 2024/9/27 18:49（最終更新 9/27 20:42）http://mainichi.jp