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★時効過ぎても政治責任、裏金再調査を　上脇博之・神戸学院大教授

　2022年に政治資金規正法違反で薗浦（そのうら）健太郎元衆院議員が罰金などの略式命令を受けた事件で、
元秘書が東京地検特捜部の調べに対し、薗浦氏が所属していた自民党派閥「為公会（いこうかい）」
（現・志公会＝麻生派）の政治資金パーティーの収入から17年に分配された380万円を事務所の裏金をためる
口座に入れたと供述していたことが刑事裁判の確定記録から判明した。
自民派閥の政治資金パーティー裏金事件では安倍、二階、岸田各派が立件されたが、
麻生派で裏金の存在を認める証言が確認されたのは初めて。

●裏金作り、広範囲かつ長期に蔓延

上脇博之・神戸学院大教授（憲法学）の話

　政治資金の出入りを収支報告書に記載せずに裏金化する行為は、民主主義制度を骨抜きにする重大な犯罪だ。
麻生派で2017年まで派閥ぐるみの裏金作りが行われていたとしたら、時効を過ぎているとしても政治的、道義的責任は免れない。
加えて、企業献金の隠れみのになっている政治資金パーティーを使った自民党内での裏金作りが、
立件された安倍派などに限らず、広範囲かつ長期にわたって蔓延（まんえん）していたことにもなる。

　自民党が裏金問題を受けて所属議員に行った調査は、対象時期を時効と同じ18年以降の5年分に限定し、氷山の一角を調べただけだった。
裏金作りを誰がいつどんな目的で始めたのかいまだに分かっていない。
それを解明しないまま今年6月に政治資金規正法を改正した結果、ザル法と言わざるを得ない不十分な内容となった。
真の再発防止策となる法改正を実現するには、調査対象を麻生派などにも広げ、
17年以前の過去にさかのぼって真相を解明することが不可欠だ。
再調査をするのが政治の責任でもある。

毎日新聞 2024/9/2 05:00（最終更新 9/2 05:00） http://mainichi.jp