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★疑惑に口閉ざす麻生派議員ら　裏金証言の元秘書も「時効でしょ」

　麻生派でも裏金作りはあったのではないか――。
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、国会では度々こう指摘されてきた。
麻生派の議員らは疑惑を否定し、他派閥が解散する中で唯一、存続を決めた。
薗浦健太郎元衆院議員の元秘書の証言は麻生派の裏金作りをうかがわせるもので、
これまでの説明に疑問が生じている。

●口を閉ざしてきた麻生派

　麻生派は2017年7月に山東派などと合併し「為公会」から「志公会」に名称を変えた。
麻生派を巡る疑惑とは、合併前は毎年開催する派閥のパーティーでノルマ以上に券を売った
議員側に超過分をキックバック（還流）しながら、派閥と議員双方の政治資金収支報告書に
資金の流れを記載せず裏金化していたのではないか――というものだ。

　麻生派の裏金作りが疑われてきたのは、還付金の収支が18年分以降の派閥・議員双方の
収支報告書に記載されているのに、17年分以前は記載がないからだ。
麻生派の議員らは安倍派や二階派の裏金問題が表面化した昨年末以降、還付金について、
国会質疑などで「適正に処理している」などと説明してきたが、
17年以前の状況については口を閉ざしてきた。

　疑惑を深めたのは、18年の麻生派の収支報告書に井上信治・元万博担当相への
還付金とみられる458万円の支出が記載されていた一方、井上氏側の報告書には収入の記載がなかったことだ。
井上氏は為公会時代から麻生派に所属。今年2月に自身のフェイスブックで、
一部報道機関から指摘があったとして「18年は担当者が代わり、事務作業に慣れておらず、
井上個人からの寄付として計上していた」と弁解したが、「17年まで続いた裏金の伝統を
引き継いで不記載にしていたのでは」（共産党・塩川鉄也衆院議員）との指摘も出た。

　麻生派の議員が17年以前の裏金化疑惑について国会で初めて言及したのは、
今年5月24日の衆院政治改革特別委員会だった。為公会時代から麻生派に所属する鈴木馨祐衆院議員が、
塩川氏から疑惑について問われ「（収支）報告書等々も含めて保存がない。
恐らくそういったことはないと私自身の記憶では思っている」と否定。
一方で「当時の状況は責任がある（派閥の）事務局などの立場でもないのでお答えできない」と述べ、
17年以前にノルマと還付の仕組みがあったかを明かさなかった。

●裏金の仕組み「はるか以前から」

　為公会時代から麻生派だった議員の秘書は取材に「麻生派のノルマと還付の仕組みは
17年のはるか以前からあった」と断言。他派閥のようなノルマ超過分の全額還付ではなく、
一定割合が還付される仕組みになっているなどと証言した。

　これに対し、麻生派事務局は毎日新聞の取材に「為公会は事実上活動を停止しているので、
わかる範囲で回答する」とした上で「法令に基づき適正に収支報告をしてきたと承知している」とした。

　自民党自体も麻生派の疑惑解明には後ろ向きだ。自民党が裏金事件を受けて
全所属議員に行ったアンケート調査では、対象期間が18年以降の5年分とされた。
このため、今年3月6日の参院予算委員会で山添拓議員（共産）が「17年以前を不問に付すのは、
麻生派55人の裏金作りの疑惑を隠蔽（いんぺい）する意図かと疑われても仕方ない」と指摘。
岸田文雄首相は政治資金規正法の公訴時効（5年）を念頭に「検察の捜査、刑事責任、
資料の保存状況などを踏まえて5年とした」と繰り返すだけだった。

　17年に派閥のパーティー収入からの分配金を裏金用の口座に入れたと
検察に供述した薗浦氏の元秘書は取材にこう述べた。
「還付金自体は何ら悪くない。収支報告書に記載してなければ問題というだけの話。
17年分は時効でしょ。（追及するのは）やめたらいいんじゃないか」【大場弘行、黒川晋史】

毎日新聞 2024/9/2 05:00（最終更新 9/2 05:00）http://mainichi.jp