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★政治家の政策は「位置・強度・理由」で吟味を　谷口将紀・東大教授

2024年8月18日 17時00分

　政治家が掲げる政策を考えるときには、位置・強度・理由の三つの要素に注目したい。

　位置とは、例えば憲法改正に賛成、反対といった立場のことである。
なお、憲法改正に賛成の場合、それは9条に自衛隊を明記することなのか、
緊急事態条項を加えることなのかなど、具体的な改正内容も吟味したい。

　二つめの強度とは、ある政策に賛成や反対の立場を表明したときに、こだわりがどれだけ強いかである。
選択的夫婦別姓制度については、自民党内でも反対派が減るトレンドにあるものの、
強硬な反対派の存在が立法を妨げている構図である。

　そして第三は、当該争点に賛成または反対し、あるいは以前と立ち位置を変えた場合の理由付けである。
状況が変化したり、政治家が認識を改めたりして態度を変えたとしても、直ちに批判されることではない。
他方、自民党の山崎拓元副総裁が、平成の政治改革で「YKK」（山崎氏、加藤紘一元幹事長、小泉純一郎元首相のグループ）が
選挙制度改革に強く反対したのは、海部俊樹元首相や小沢一郎元幹事長との
権力闘争の手段に過ぎなかったと近著で回顧したように、政策以外の目的をもって態度を決めるのも政界の常である。
それぞれの政治家には、説明責任が問われることになろう。

●「選挙の顔」選びから脱却するための３要素

　今回の企画は、選択的夫婦別姓、同性婚法制化、憲法改正、財政赤字に対する認識の四つについて、
「ポスト岸田」として名前が挙がった議員の争点態度を振り返る。
第一義的には各政治家の政策位置とその変化を示すものではあるが、
同時に各争点に関する態度の強さや安倍晋三元首相や安倍派に対する思惑含みであるかもしれないなどの示唆にも富む。
来たる自民党総裁選が単なる「選挙の顔」選びではなく、実りある政策論議の機会になることを期待する。

◆朝日・東大調査とは

　朝日新聞と東京大学大学院法学政治学研究科の蒲島郁夫（前・熊本県知事）、谷口将紀両研究室による共同調査。
2003年以降、主に国政選挙の候補者を対象に政策や考え方などについて聞いてきた。
有権者への調査もしており、候補者（当選者）との比較も行っている。

朝日新聞デジタル　http://digital.asahi.com