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★夫婦別姓の賛否、割れる自民議員　総裁選前に朝日・東大調査で分析

笹井継夫 木佐貫将司2024年8月17日 15時00分

●自民総裁選、あの議員の立ち位置は

　自民党総裁選で「ポスト岸田」候補として意欲を示す衆院議員は、選択的夫婦別姓への賛否が割れていることが、
朝日新聞社と東京大学・谷口将紀研究室によるこれまでの共同調査からわかった。
選択的夫婦別姓は、日本経済団体連合会（経団連）が早期導入を政府に求めるなどしており、
総裁選で争点になる可能性がある。

　前回2021年衆院選時までの12議員（不出馬表明した岸田文雄首相=67=を含む）の回答を分析した。
共同調査では選択的夫婦別姓について14年から質問。
「夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の名字を称することを、法律で認めるべきだ」
という考えへの賛否を5択で聞いている。

　21年の調査で「賛成」を選んだのは、野田聖子元総務相（63）と河野太郎デジタル相（61）。
石破茂元幹事長（67）が「どちらかと言えば賛成」だった。

●夫婦別姓、一貫して「賛成」は野田氏

　野田氏は14年から一貫して「賛成」と答え続けている。河野氏は14年は無回答だったが、17年に「どちらかと言えば賛成」、
21年に賛成の度合いを強めた。石破氏は14、17年に「どちらとも言えない」だったが、21年に賛成派になった。

　一方、岸田氏は14年に「どちらかと言えば反対」と答え、17、21年は回答していない。

　高市早苗経済安全保障相（63）と小林鷹之前経済安全保障相（49）、斎藤健経済産業相（65）は21年、
「どちらかと言えば反対」を選んだ。高市氏は、14年は「反対」、17年は「どちらとも言えない」だった。
小林氏は、14年は無回答、17年は「反対」だった。

　加藤勝信前厚生労働相（68）と上川陽子外相（71）は21年、「どちらとも言えない」だった。
茂木敏充幹事長（68）は14年に「どちらとも言えない」で、17、21年は回答していない。
小泉進次郎元環境相（43）は14年から無回答が続いている。林芳正官房長官（63）も参院議員時代の19年から回答していない。

　有権者の平均は14年以降、中立から賛成寄りで推移し、賛成の度合いを強めている。
自民党の衆院選候補者の平均は反対寄りから中立に近づいているが、有権者の平均とは開きがある。

　選択的夫婦別姓の賛否は朝日新聞社の7月20、21日の世論調査でも、「賛成」が73%で、「反対」の21%を大きく上回った。
21年4月に同様に質問した際は「賛成」67%、「反対」26%で、差が広がった。（笹井継夫、木佐貫将司）

　同性婚の法制化への賛否も、「ポスト岸田」候補の間で分かれている。

　共同調査では、衆院選では2017年から、「男性同士、女性同士の結婚を法律で認めるべきだ」
という考えへの賛否を5択で質問している。

●同性婚に「賛成」は河野氏だけ

　21年の調査で「賛成」と答えたのは、河野氏だけだった。野田氏は「どちらかと言えば賛成」を選んだ。
17年には、河野氏は「どちらかと言えば反対」、野田氏は「どちらとも言えない」だったが、いずれも賛成派になった。

　石破氏、加藤氏、上川氏、斎藤氏は17、21年ともに「どちらとも言えない」だった。

　高市氏は21年に「反対」を選んだ。17年は「どちらかと言えば反対」だった。
小林氏は、21年は「どちらかと言えば反対」、17年は「反対」だった。

　「ポスト岸田」候補では、小泉氏、林氏、茂木氏が回答していない。

　選択的夫婦別姓と同様に同性婚法制化でも、有権者の平均は、中立から賛成寄りに変化している。
自民党の衆院選候補者の平均は、反対寄りから中立に近づいているが、やはり有権者とは開きがある。（笹井継夫、木佐貫将司）

◆朝日・東大調査とは

　朝日新聞と東京大学大学院法学政治学研究科の蒲島郁夫（前・熊本県知事）、谷口将紀両研究室による共同調査。
2003年以降、主に国政選挙の候補者を対象に政策や考え方などについて聞いてきた。
有権者への調査もしており、候補者（当選者）との比較も行っている。

　分析は、東大・谷口研究室側は谷口教授のほか、高宮秀典・拓殖大学政経学部助教が、
朝日新聞側は笹井継夫、木佐貫将司、小村田義之が担当しました。

朝日新聞デジタル　http://digital.asahi.com