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★ キムチに肥満リスク低下の効果　韓国の健康診断調査

2024年7月25日 5:00

日本の食生活にすっかりなじんでいるキムチ。
1日あたり1-3皿のキムチを食べている人ほど、肥満や腹部肥満が少ない可能性が、
11万人以上を対象とした韓国の健康診断調査の結果で明らかになった。

韓国の肥満実態調査（2021年）によれば、肥満の割合は2009年の29.7%から19年は36.3%に増加、
腹部肥満も09年の19.0%から19年は23.9%に増加しているという。
肥満は2型糖尿病や脂質異常症、糖尿病などの慢性疾患の危険因子とされる。

キムチは白菜や大根などの野菜を塩漬けし、タマネギ、ニンニク、粉唐辛子、塩辛エビ、
魚醤（ぎょしょう）などのさまざまな調味料を加えて発酵させる。
食物繊維や乳酸菌、ビタミン、ポリフェノールが豊富。マウスを用いた研究では
キムチに含まれる乳酸菌は脂肪組織の蓄積を減少させると報告されている。
そこで発酵食品であるキムチの摂取と肥満との関連性が調べられた。

健康診断調査は2004年から2013年に実施され、
40-69歳の11万5726人（男性3万6756人、女性7万8970人）のデータが解析された。
肥満は体格指数（BMI）が25以上、腹部肥満はウエスト周囲径が男性で90センチ以上、女性で85センチ以上と定義された。
キムチの摂取量は食事頻度アンケートで評価した。
キムチは白菜キムチ（ペチュキムチ）、大根キムチ（カクテキ）のほか、
水キムチと呼ばれるナバクキムチやトンチミ、ネギやレタス、からし菜などのキムチも含まれた。
ペチュキムチやカクテキの1皿は50グラム、ナバクキムチやトンチミは95グラム。
キムチの摂取量は1日あたり「1皿未満」「1-2皿」「2^3皿」「3^5皿」「5皿以上」に分けられた。

この結果、キムチ摂取量が最も少ない「1皿未満」のグループに比べ、
最も多い「5皿以上」のグループは総エネルギー摂取量、炭水化物、たんぱく質、脂肪、
ナトリウム、カリウム、食物繊維の量が有意に多かった。

●1日1-3皿キムチを食べる男性は肥満リスクが低い

ところが、年齢や飲酒歴、喫煙歴、身体活動などで統計学的に調整したところ、「1皿未満」に比べて、
1-3皿の男性の肥満リスクは低く、「1-2皿」では12.5%、「2-3皿」では10.7%低かった。
またペチュキムチを食べている男性は、「1皿未満」に比べて肥満と腹部肥満のリスクがおよそ10%低かった。
女性では、ペチュキムチの摂取量が最も少ない「1皿未満」と比較して「2-3皿」では肥満リスクが8%低く、
「1-2皿」では腹部肥満リスクが6%低下していた。

またカクテキを中央値（男性25.0グラム/日、女性10.7グラム/日）以上食べていた人は、
まったく食べていない人に比べて腹部肥満リスクが男性で8%、女性で11%低かった。
ナバクキムチやトンチミ、その他のキムチでも、肥満リスクは下がる傾向はあったが、
統計学的な有意差は示されなかった。

なお、すべての結果で「J字型」の関連性が示され、1日5皿以上では肥満リスクが高まり、
塩分の摂り過ぎにもなることから、キムチの過剰摂取は勧められないと研究グループは述べている。

（データ:BMJ Open 2024;14:e076650.）（文　八倉巻尚子）

日経新聞 http://www.nikkei.com