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★トランプ氏撃った20歳容疑者、今も謎の動機　地元で見えた人物像は

ベセルパーク＝下司佳代子 ワシントン＝清宮涼2024年7月15日 8時00分

　米ペンシルベニア州バトラーで13日、トランプ前大統領が選挙集会中に銃撃された事件は世界に大きな衝撃を与えた。
容疑者とされる20歳の男はどんな人物だったのか。これまでに判明した情報をまとめた。

　容疑者が住んでいたペンシルベニア州ベセルパークは、
事件が発生したバトラーから南に約60キロ離れ、主要都市ピッツバーグを挟んだ場所にある。
トランプ氏を支持する看板や星条旗が随所に見られる緑豊かな住宅街に、
トーマス・マシュー・クルックス容疑者（20）の自宅がある。

　14日午後に近くを訪れると、周辺道路は地元の消防や警察が封鎖していた。
自宅前には青いテントが張られ、多数の車が止まっていた。

　クルックス容疑者は地元ベセルパーク高校を2022年に卒業した。
地元メディアによると、成績優秀者として500ドルの賞金を得たこともあった。

　近所に住む56歳の女性によると、容疑者宅と隣接する家に住む人たちは
警察から13日深夜に避難するよう命じられていたという。
13日深夜と14日の日中と2回、爆発物処理班が出入りをしているのを見かけた。
AP通信によると、容疑者の自宅や車の中から爆発物のようなものが見つかったという。

　女性は「とてもフレンドリーな地域だが、（容疑者の）一家を見かけることはほとんどなく、なじみがなかった」と話す。
容疑者の父親とは話したことがあるが、本人は見かけたことがあるだけで、人となりは知らないという。

　「この地域は明らかに保守的な人が多く、トランプを愛していることをみんな隠しもしていない。
そんな場所が今回のような事件の起点になるとは予想もしなかったし、動揺している」

　今回の銃撃事件では、トランプ氏が右耳を負傷し、集会に参加していた1人が*亡、2人が負傷した。

　米メディアは、容疑者がトランプ氏の演説会場から120〜150メートルほど離れた建物の屋根から銃撃を図ったと報じている。
銃の扱いに慣れている人であれば、相手に命中させることがそれほど難しくない距離という。
米NBCなどによると、地元の射撃クラブは、クルックス容疑者が会員だったことを認めた。
介護施設で栄養補助員として働いていたことも判明したという。

　また、AP通信は関係者の話として、事件の直前に集会参加者から通報を受け、
警察官が容疑者がいた建物の屋根に上ろうとしたと伝えた。
だが、容疑者からライフル銃を向けられた警察官は屋根から降り、直後に容疑者がトランプ氏に向けて発砲したという。

　警備態勢を問う声が続く一方、事件の動機はまだ明らかになっていない。
AP通信によると、連邦捜査局（FBI）は単独犯とみて捜査をしている。
バイデン大統領は14日の演説で、捜査は初期段階にあるとして、臆測を広めないよう呼びかけた。

　米メディアによると、州の有権者情報ではクルックス容疑者は共和党員として登録されていた。
ただ21年には、民主党系の団体に少額の寄付をしたこともあるとされ、政治信条ははっきりしない。

　米紙ワシントン・ポストの14日の報道によると、事件には父親が購入した銃が使用されたとみられている。
父親は13日夜、米CNNの取材に対し、「なにが起きているのか」を理解しようとしているとし、
警察側と話すまでは取材に答えられない、と話したという。

　事件につながるようなSNS上の書き込みも現時点では見つかっていない。
クルックス容疑者は、ゲーム愛好家に人気の対話アプリ「ディスコード」にアカウントを持っていたが、
ワシントン・ポストによると「ディスコード」は「アカウントはほとんど使われておらず、
事件を計画したり、暴力をあおったり、政治的見解を議論したりするために使われたという証拠は見つかっていない」と述べた。

　米国防総省のライダー報道官は14日、容疑者が軍に在籍したことはないと明らかにした。
（ベセルパーク＝下司佳代子、ワシントン＝清宮涼）

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