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★維新、「立憲たたき」失敗　 保守層狙いも「有権者には刺さらない」

小林圭 野平悠一2024年4月28日 21時25分

　28日投開票の衆院トリプル補欠選挙で、日本維新の会は候補を擁立した東京15区、長崎3区でともに立憲民主党に敗れた。
次期衆院選では「野党第1党」の獲得を目標に掲げるが、政権批判票の受け皿にはなりきれていないことが明らかとなった。

　維新の馬場伸幸代表は28日夜、大阪市内の党本部で「これが我が党の今の実力だ。
それ以上でもそれ以下でもない」と敗戦の弁を述べた。

　両選挙区では、自民党が候補擁立を見送ったことから、維新はこれまで自民支持だった
「保守層」に狙いを定めた選挙戦を展開した。
そのため、馬場氏は街頭演説で「立憲民主党をたたきつぶす」「共産党は日本にいらない」などと、
立憲や立憲候補を支援する共産への攻撃を繰り返した。

●「雨だから早く上がっていいですよ」　空中戦頼みに限界

　しかし東京15区では、作家の百田尚樹氏や河村たかし・名古屋市長が設立した
政治団体「日本保守党」の候補や元自民党衆院議員の候補らがいたことから「保守票が分散した」（東京維新の議員）。
裏金事件で国民の批判が自民に集中する中、「立憲や共産を批判しても一般の有権者には刺さらない」（維新若手）との声も漏れる。

　維新は2021年衆院選、22年参院選と伸長を続け、一時期は政党支持率が立憲を上回ることもあった。
だが、今年に入ってからは2〜4月が4ポイントと低調傾向で、再び立憲にリードを許している。

　要因の一つが、旗振り役を務めてきた大阪・関西万博だ。来年の開幕に向けて工費の上ぶれや
施設建設の遅れが指摘されて批判を浴びる。自らを「第2自民党」（馬場氏）と評するなど、
野党としての立ち位置がわかりにくく、「政権批判票の受け皿の役割は、立憲に持っていかれている」（維新若手）との指摘もある。
21日には藤田文武幹事長のおひざ元の大阪府大東市長選で公認候補が落選。維新中堅は「維新は今、落ち目だ」と漏らす。

　大阪以外で組織が育っておらず、空中戦頼みの選挙となっていることも大きな課題だ。
「党の顔」である吉村洋文共同代表（大阪府知事）は選挙期間中、東京15区に3度、長崎3区に1度入った。
選挙戦最終日の27日には、馬場氏や吉村氏、藤田氏、音喜多駿政調会長、柳ケ瀬裕文総務会長の党幹部5人が
そろって東京15区の街頭で支援を訴えたが、選対関係者は「駅前で声を上げるだけで地に足のついた選挙になっていない」と指摘する。

　特に地方部の長崎では、地元議員が一人もおらず、苦しい戦いが続いた。
空中戦が中心のため、雨天の選挙活動が乏しくなることもあり、
陣営関係者は「『今日は雨が降っているから午後7時で早あがりしていいですよ』って言われちゃった」。
ある大阪府議は「空中戦だけで支持を広げていくには限界がある。
地盤がない場所で勝つことの難しさをまざまざと見せつけられた」と頭を抱える。

　今回の補選では、全国的には知名度と組織力が依然として不足している現状が改めて浮き彫りになった。
別の維新府議は「大阪においては知事与党かもしれないが、全国ではまだまだ吹けば飛ぶような政党や」と嘆いた。

●馬場氏は「立憲たたき」継続宣言　「別に悪口言っているわけではない」

　一方の党トップの馬場氏。敗戦が伝えられ「党としての地力がないことが最大のウィークポイント」と
力不足を認めつつも、国政での立ち位置を見直す考えはなさそうだ。
立憲との関係について問われ「国内外で大きな難しい課題が山積している中で、
あの方々が野党第1党でやっておられても日本の国は良くならない」と指摘し、こう続けた。
「別に悪口を言っているわけではないので、今後もそこは厳しく指摘をさせていただく」（小林圭、野平悠一）

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