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★衆院憲法審、裏金で年内開催ゼロ　危うくなる首相の「改憲公約」

◆衆院憲法審査会を巡る与野党の主張
・立憲民主党の逢阪誠二氏　憲法審委員にも裏金議員が5人いる。（自民によって）処分される議員が憲法審にいるのは適当なのか
・自民党の中谷元氏　（裏金問題は）大事な問題だが予算委員会などでしっかり議論すべきで別問題だ
・立憲民主党の逢坂誠二氏　審査会長の職権で幹事懇談会がセットされた。筆頭間協議を否定するもので承服できず、懇談会は欠席した
・自民党の中谷元氏　欠席はいかがなものか。時間つぶしで憲法論議ができないのはおかしい
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　衆院憲法審査会が、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の影響で、今年に入り一度も開催できない状況が続いている。
自民側憲法審委員の中に政治資金収支報告書の不記載が発覚した議員がいることを立憲民主党が問題視しているためだ。
自民は事件と憲法議論との切り離しを主張するが、立憲が態度を軟化させる兆しはなく、
岸田文雄首相が「公約」した自民総裁任期の9月までの改憲に「黄信号」がともりつつある。

●強硬姿勢の立憲、幹事懇談会欠席

　「今回の幹事懇の（森英介審査会長の）職権によるセットは（与野党）筆頭間協議を
与党自ら否定するもので承服できない」。立憲の逢坂誠二氏は21日、記者団に対し語気を強め、
同日開催予定だった憲法審幹事懇談会を欠席した理由を述べた。

　立憲などは自民側衆院憲法審委員のうち、衛藤征士郎元衆院副議長（安倍派）、
下村博文元文部科学相（同）ら5人に不記載があったことを問題視。
自民が4月にも決める党内処分で憲法審委員が交代する可能性もあるとみて、
憲法審の早期開催に待ったをかけてきた。
早期開催の道筋をつけたい自民側は21日、開催の前段階となる幹事懇を設定したが、
立憲とオブザーバーの共産党の欠席で幹事懇は「意見交換会」へと置き換わった。

　意見交換会後、与党筆頭幹事（自民）の中谷元氏は記者団の取材に、
逢坂氏はまだ憲法審の幹事にも選任されていない立場だと強調。
「幹事に就任するための審査会（の幹事懇）すら欠席する態度はいかがなものか」と苦言を呈した。

　与野党は近年、憲法審を次年度予算案の審議に影響を及ぼさない範囲で開催してきた。
今年も予算案が衆院を通過し、審議の場が参院に移ったことから、
与党などは衆院憲法審の早期開催を求めてきた。

　しかし東京地検による裏金事件の捜査が終結し、
問題追及の舞台が国会に移って以降、立憲は強硬姿勢を強めている。
立憲が今年、野党筆頭幹事予定者を昨年の臨時国会まで務めた中川正春氏から逢坂氏に交代させたことが一因だ。
自民側幹事の一人は「（逢坂氏への交代で）完全に対決姿勢に変わった。
『論憲』を掲げていた中川さんと話していたことも全部ゼロベースになった」と嘆息した。

　自民側は今国会初の衆院憲法審を28日に開きたいと求めているが、立憲が応じる気配は今のところない。

　仮に憲法改正の国民投票を9月に実施しようとすれば、法定の広報・周知期間が最低60日間必要なため、
7月には改憲案の国会発議を行わないと間に合わない。
憲法審の運営は与野党合意が「慣習」となっており、このまま開催できなければ首相の総裁選公約はますます危うくなる。
【木下訓明、中村紬葵】

毎日新聞 2024/3/21 21:24（最終更新 3/22 05:43） http://mainichi.jp