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2022年3月、静岡県三島市の資材置き場で、建設会社の従業員の男性が火をつけられ、*害された。
この凄惨な事件の容疑者として逮捕されたのは、男性が働く会社の28歳の社長だった。

「別の従業員が火をつけた」事件から1年9か月を経て始まった
裁判員裁判で、法廷に立った社長の男は、一貫して否認を続けた。

事件は、2022年3月12日の夜に起きた。三島市内の資材置き場で、
従業員の男性(当時42歳)が火だるまになって*亡した。

　(中略)

一度は当時暮らしていた寮まで戻ったものの、翌日夜、同僚が消防に通報。
男性は心肺停止の状態で病院に運ばれ、その後*亡した。
*因はやけどによるショック*。

　(中略)

検察は、*亡した男性が働く会社の社長の男(28)が、男性の体と服に
燃料油を浴びせ、ライターで頭に火をつけたとして*人罪で起訴。
12月4日、静岡地方裁判所沼津支部で裁判が始まった。

　(中略)

社長の男と*害された男性との関係は、雇用主と従業員。
2人の間には、事件前から“暴力の主従関係”が存在した。
仕事でミスをした男性に対し、社長の男が暴行を加える場面があったというのだ。

　(中略)

社長の男は、別の従業員が火をつけたと主張。従業員3人が前に
立っていて視界を奪われ、火をつけた瞬間は見えなかったという。
しかし、他の従業員らは、社長の男が火をつけたと主張。
検察側が「3人にうそをつかれる心当たりは?」と問われると…

　＜社長の男＞
　「ないですけど。僕のせいにするのがやりやすいんじゃないですか」

　(中略)

　◆残っていた「声」

　「なぁ、もう悪さしねぇだろ」　「こんくらいすりゃあ」

現場にいた従業員が撮影した映像には、こう語る社長の男の声が残っていた。

　(中略)

検察側は「被害者に一方的に暴力をふるった末、燃料を用いて被害者を火だるまにしたもの
であり、その態様は、もはやリンチといえ、極めて残忍で悪質」として、懲役18年を求刑。

　(中略)

12月20日、静岡地方裁判所沼津支部は社長の男に懲役16年の実刑判決を言い渡した。
「被告人が油をかけて火を放つ行為をしたものと認め、未必の*意が認められる」
と判断、裁判所が重要視したのは、当時現場にいた3人の従業員の供述だ。

　(中略)

実は従業員Bは、事件の10日前に派遣として会社に来たばかり。
どちらとも知り合って日の浅いBの中立性の高い証言が大きな判断材料となった。

　(以下略)